副露の成否基準―アソシエーション分析

はじめに

ここ最近の個人的課題は和了率を上げることである。その為に副露の精度を上げたいと思っていて、とりあえず鳴けそうなものはどんどん鳴いてみている(副露率40%超)。その上で何が副露の成否を分けるのか、その基準のようなものを探っていきたい。

 

方法

アソシエーション分析とは、コンビニやスーパーのPOSデータ(売り上げデータ)から、どのような商品の組み合わせが購入されているのかを分析する手法である。意外な組み合わせを見つけることもでき、「おむつ」を買うと「ビール」も買うなんてのが有名である。

 

アソシエーション分析では、「商品Aを購入する」ことを「事象A」と呼び、AならばBというルールを見つけ出す。Aが条件部、Bが結論部である。これを多少無理矢理に麻雀に当てはめるとすると、さまざまな「状況」や「選択した行動」が「事象」ということになる。そのように見なしたときに、最終的に「和了」という事象と関連のある事象を探し出し、Aならば「和了」というルールを見つけることが今回の目的である。

 

データは6月の天鳳上級卓で副露をした56局を使用。事象の数は61であり、その中身は東場・南場、順位、配牌の状況、他家の動向、1副露目の巡目や種類、聴牌、最終的な成否などから成る。

 

結果と感想

統計ソフトRのライブラリarulesにあるapriori関数を用い、信頼度(confidence)0.8、支持度(support)0.1で分析した結果、結論部(rhs)を「和了」とするルールが138個得られた。リフト値(lift)はすべて2.5以上であった。ルールの数がやや多く、条件部に繰り返し現われる事象は「和了」と関連が強いと考えられる為、条件部の事象頻度(図1)を用いて解釈する。

f:id:psycholococolo:20180720114621p:plain

図1.条件部の事象頻度

 

まず、「追掛リーチなし」、「先制リーチなし」、「追掛副露なし」といった、他家の動向が大きく影響していることが分かる。この辺は鳴いた後にリーチがくると大体降りている弱気な自分が如実に反映されていて恥ずかしいくらいである。攻め返されても和了につなげられるようにすることが課題となるだろう。

 

次に、「子」、「東場」のときに「和了」につながりやすいようである。実際、親で子の2倍副露しているが、和了回数はほぼ同じで、親で鳴いて和了できていないことが分かった。これは恐らく親リーチが無くなることで、他家に攻め返されやすくなっていることが考えられる。親リーは偉大である。親のときは速くて高い鳴きや聴牌取りを中心に鳴くだけにして、基本的にリーチを打つように進行するのがよさそうである。

 

また、親の副露が増える別の理由としては、連荘を目指しての無理な仕掛けが増えることも考えられる。和了に向かっていない副露によって和了率が下がっているのかもしれない。

 

「東場」に関しては、「親」と「子」ほどの差はないが、「南場」よりも鳴いて和了しやすいようである。南場になると着順取りのために他家も積極的に和了に向かう為、和了が難しくなるのかもしれない。

 

配牌に関しては、「両面ターツ以上あり」、「雀頭あり」、「配牌4向聴」と、ターツが足りていて、まずまず整っている形のときに和了しやすいようである。ただし、これら3つが同時に揃っていなければならないという意味ではない。

 

その他、現状では関連が弱いとされた事象としては、配牌でのドラ枚数、先制副露かどうか、1副露目の巡目、1副露目に何をどう鳴くか(役牌ポンやカンチャンチーなど)などがある。図1では、「聴牌2段目後半」があるので、やはり早い巡目で鳴いて早く聴牌するに越したことはないだろうと思われる。

 

この分析は、あくまでも私自身の現状の副露を分析したものであって、技術が高まれば親でももっと副露を成功させられるようになるだろうし、配牌が悪くても、他家に攻められても和了できるようになるだろう。

 

今後調べたいこと

結論部に「放銃」や「他家和了」を設定した分析を行い、今回の結果と比較することで条件部の違いを検討することができる。もし、和了に関連する条件、放銃に関連する条件が異なれば、どんなときに鳴いてどんなときに鳴かないかがよりクリアになると考えられる。データ数も地道に増やしていきたい。

 

参考文献・サイト

秋光淳生(2016)データの分析と知識発見 放送大学教育振興会

金 明哲 アソシエーション分析(1) [連載]フリーソフトによるデータ解析・マイニング第40回

第3回 Rでの実装|POSデータでマーケットバスケット分析の実践 with R | GiXo Ltd.