もう1牌押すための口実を考える②

もう1牌押すための口実を考えるでは、先制リーチ者の和了確率が考慮されておらず、押していく側(自分)の和了確率が高めに算出されていた。先制リーチ者の和了確率を正確に算出することは実際に麻雀を打っている場面では困難(読みの精度が高ければ可能かもしれない)であるため、お互いの待ち枚数を想定した上で、あくまでも1つの目安として算出してみたい。今回はお互いの待ち枚数を1枚ずつと想定する。

 

和了確率

前回同様、さまざまな前提条件を置いた上で、巡目ごとに残りの山と王牌のうち、自分のツモ位置か、あるいはリーチ者のツモ位置に自分の和了牌がある確率を求める。

 

王牌(表示牌除く)の枚数をw=13、山の枚数をyとする。山は1巡あたり4人のツモ位置で1ブロックになっているので、b=y/4で大体のブロック数(残り巡目)とする。

 

b=1のとき、異なる和了牌1枚ずつが重複せずにw+y=17枚の内に収まる事象の数(全事象)は、w+yC1w+y-1C1=272となる。自分が和了できる場合は、先制リーチ者のツモ位置に自分の和了牌がある場合16C1=16と、自分のツモ位置に和了牌があり、かつ、先制リーチ者のツモ位置にリーチ者の和了牌がない場合15C1=15であり、これらは同時に起こらないので計31となる。したがって、お互いに1枚ずつ和了牌がある場合、残り1巡で自分が和了できる確率は31/272=0.114となる。

 

n=w+yとすると、全事象Uは

n(n-1)

和了する事象Aは

(n-1)+(n-2)+・・・+(n-2b)

和了確率P(A)は

(n-1)+(n-2)+・・・+(n-2b) / n(n-1)

 

表計算ソフトで計算しやすいように、事象Aの部分を等差数列の和として変形すると、

-2b2+2nb-b となる。

 

和了確率と放銃確率の推移について、前回求めた予想和了牌数1枚の場合に、今回のお互いに1枚ずつ和了牌がある場合(黄)を重ねた(図1)。放銃確率については、「無スジ」が2スジ分の確率である。つまり、片スジも通っていないときに2スジにかかる4、5、6の牌を切った場合の放銃確率である。「片スジ」が1、7、2、8、3、9を切った場合の放銃確率である。

図の見方としては、縦軸が確率(和了・放銃)であり、横軸は和了確率に対しては巡目であり、放銃確率に対しては通ったスジの数である。

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図1.和了確率と放銃確率の推移(和了牌1枚ずつ)

 

図1より、ざっくり言ってリーチ者の和了確率を考慮すると自分の和了確率は下がる。11巡目の1枚ずつ和了確率は11本スジが通っている際の無スジ放銃確率を若干下回っている。巡目と通ったスジの本数は必ずしも同期しないので、13巡目でスジが10本であれば無スジを押せるかはギリギリ(どちらも約25%)と読み取れる。

 

 

試した感想

実際にこの基準通りに試してみると、大体リーチがくる巡目が2段目前半(7~9巡目)くらいとすると、2、3巡で確率が逆転するので、慣れてないせいもあるかもしれないが、本当に数巡での素早い押し引きの判断が求められることになる。

 

加えてスジの数も予想以上に早く増えていく気がして(当然自分が無スジをバンバン押せばそれだけ通ったスジの本数は早く増えていく)、巡目より先行していくことが珍しくない。つまりあまり押せなくなる。

 

図1のように、グラフが交差する2段目後半の11、12巡目くらいまでは頑張って、それ以降は引き気味にする感じかなと思う。片スジであれば3段目に入る13巡目くらいまでは粘れそうである。

 

あとは基準を守る我慢の効くメンタリティと、読みの技術の向上が欠かせないのは言うまでもない。

 

今後は枚数を変えて、いくつかのパターンについてさらに検討してみたい。