U20女子W杯2018決勝スペイン-日本の感想

いつも笑顔でウッキウキの日本選手と、緊張感漂う表情を浮かべていたスペイン選手が対照的に映る試合前。

 

日本の先発は、左SBを高平から北村に変更した以外は準決勝イングランド戦と同じで、フォーメーションは4231。その北村は立ち上がりからマッチアップするスペインの右WGナバーロの対応に追われる。スペインは左サイドでボールを回し、日本のブロックを引き付けておいて対角に1本のロングボールでサイドチェンジして何度もナバーロと北村の1対1の局面をつくっていた。恐らくこれがスペインのやりたい形だったのだろう。

 

スピードと突破力のあるナバーロを止めるため、日本は遠藤、長野、南らが北村のカバーに回り、複数人で対応してなんとか凌ぐ。スピードを警戒して徐々にDFラインが下がり、中盤が間延びしてプレスがかからなくなる。スペインの3トップも守備を怠らないので、日本がボールを奪ってもなかなかつなげない。苦し紛れにCKに逃げざるを得ない局面も多く、正直この時間帯で大量失点していてもおかしくない内容だった。

それでもスタンボーは素晴らしいセーブを見せていたし、南・高橋の両CBは終始安定してスペインのボールを弾き返し続けた。選手心理や試合の流れからいえば、ここで点を取っておきたかった、でも取れなかったスペインと、苦しい時間帯を凌ぎ切った日本で差が生まれたと思う。

 

準決勝では左足でバーを叩き、決勝は右足でバーすれすれに決めた宮澤。独特でキレのある上体を揺らしたフェイントでスペイン守備陣を一瞬で引き剥がし、やや高さに難のあるGKコルの弱点を上手く突いた。日本が少ないチャンスから貴重な先制点を奪って前半を折り返す。

 

 

後半に入って日本はDFラインを高く保ち、前から積極的にプレスをかけ始める。ボールホルダーに自由を与えず、前線にボールが入らなくなる。北村の対応にも余裕が生まれ、ナバーロにほとんど仕事をさせない。池田監督の指示か選手同士で話し合ったのか不明だが、非常に効果的な修正だった。スピードのあるスペイン攻撃陣に対してラインを高く保つことは勇気のいることだし、それを選手全員で一体感を持って実行できていたところも素晴らしいと思う。

 

数分で試合の主導権を奪い返した日本は、植木の巧みなポストプレーから抜け出した宝田が完璧なコースに流し込んで追加点。日本の守備の安定感からいってこのゴールでほとんど試合は決まった感があった。スペインは特に大きな戦術的策もなく、日本はタイムアップまで終始集中力を切らさなかった。

 

フィジカル的に劣勢になりやすいこの世代でのW杯優勝は女子フル代表(なでしこ)にもつながる大きな意味を持つ。なでしこの未来は明るいなぁ。

 

ハイライト動画

※リンク先から視聴可能

3位決定戦 フランス-イングランド

 

決勝 スペイン-日本

 

試合後の日本ロッカールーム

おめでとう!