サッカー日本代表アジアカップ2019の感想

いまさら振り返ってみる。

 

11月に新生日本代表は温かいホームの歓迎を受けながら全国行脚を終え、これからいよいよガチなアウェイの戦いに臨む。

アジアでの試合というと、荒れた芝と拡声器でのいかつい応援というイメージなのだが、UAEはさすがにお金持ちということもあって現代的でキレイなスタジアムに拍子抜けした。

 

初戦のトルクメニスタン戦については、まぁ先制点は事故だと思いたい。ジャイアント・キリングを狙った思い切りの良いプレイが目立った。原口から大迫へのパスからのゴールはなかなか珍しい形で、原口には縦に行ってクロスか中に切れ込んでシュートかという選択が主にあるなかで、エリア内にパスを通すという選択にハッとさせられた。そして大迫の完璧なトラップからのキックフェイントが半端なかった。守備ではCBとGKの連携に課題が見られた。お見合いって感じで、チャレンジする人がいないからズルズル行ってしまう。

 

オマーン戦は先ほどハイライトを見たが、DFラインが高かったのだろうか、南野が裏に抜ける場面が多く、やりやすそうに見えた。ただ相手GKが当たりまくっていて、PKもコース当たってたし厳しいものだった。前半のカウンターからあわや失点という場面では、初戦と同じような守備の連携ミスのように見えた。長友の手にシュートが当たったシーンは、Jリーグの競技規則で考えたらハンドの反則を取られていてもおかしくなかっただろう。ただ、目の前でシュートを打たれる時に体を投げ出してブロックするというのは非常に恐ろしいことであり、球際で厳しくいく姿勢を見せたとは思う。

 

オマーン戦で決勝トーナメント進出を決めたのでウズベキスタン戦は省略。

 

決勝トーナメント1回戦、サウジアラビア戦。負けたら終わりの一発勝負になるとシビアな戦いになる。怪我で大迫を欠き、攻撃がいまいち。大迫に起点をつくって2列目を活かすという形が使えない。世界レベルで戦えるワントップが人材不足だ。

 

準々決勝ベトナム戦。ベトナムが意外と強い。昔、海外のレジェンドだったかJに来た監督だったか忘れたけど、「日本は経済で成功したんだからサッカーでも成功できる」みたいなこと言ってたのを思い出した。やはりその国の経済力とサッカーの力は比例するんですかね。女子サッカーが強いと女性の社会進出が進んでいるとかもよく言われる。まぁ日本は国会議員や主要なポストにはあまり進んでいない気はするけど。とにもかくにもベトナムは小さいけどすばしこくて粘り強い、ある意味日本的な特徴を持つ今後が楽しみ(つまりそれは脅威)なチームではある。

 

準決勝イラン戦。来ました大一番。先制点のシーンでは南野が強かだった。諦めなかったという美談よりも、どちらかというと賢いプレーだ。審判が笛を吹くまではプレーを止めないというのは基本だと思うが、なんとなく周りに合わせて、あるいは倒れたままファウルを主張していてもおかしくなかった。どちらかというと日本の選手はそのように振舞うことが多かったのではないだろうか。そして逆に、例えば南米の選手などに南野のようにプレーされて、今回のイランの守備陣のように困惑するのがかつての日本の選手だったように思う。ロシアW杯では特殊な状況下で、カードももらわず、時間を進めるために10分間ボールを回し続けた。ルールの範囲内でやれることをやるという意識が日本人の中に浸透して来ているということなのだろうか。

 

決勝カタール戦。うん、いい試合だった。アリの先制点は正直次同じように打って入るのかなって感じだけど、相手を褒めるしかないのでしょう。2失点目はアリが中盤まで下がったところからハティムに縦パスが入るタイミングで前線に上がって来てパスコースを作っていた。ブロックの間に入り込まれてしまい、マークが間に合わなかった。

 

カタールは足元もしっかりしていてパススピードも速く、相当やっかいな相手だった。思えば2016年、リオ五輪のアジア予選でカタールは開催国であり、その時から、いやもっと前から?自国開催のW杯を見据えてスペインからコーチを招聘し、設備を整え、強化して来ていたのだった。そんな相手に見せた南野のゴールは今大会(自分が見た中で)最も美しいゴールだったと思う。引いたブロックの間に塩谷からの鋭い縦パス、それを大迫が相手を背負いながらワンタッチで捌いて南野のトラップからの1vs1。

 

そして吉田のハンドはどうだっただろう。空中での姿勢としては自然に見えるし、腕を伸ばしているとまでは言えないのではないか。ただ、シュートコースはある程度予測できるものであり、そこに腕を置いてはいけない(身体に腕を付けておかなければいけない)ということか。

 

2点差を付けられて敗れたものの、それほど力の差があったとは思えない。攻撃の幅を拡げていけるかが今後の日本代表の見所だと思う。そういえば最近、RSBの酒井が目立たない気がする。堂安とのバランスを取っているのだろうか。その辺も含め、見ていきたい。

 

さて、来週はコロンビアと親善試合をするようだ。6月には南米のコパ・アメリカにも参戦するようで、非常にいい試合が組まれていると感じる。楽しみ。