サッカーW杯2019なでしこジャパン-アルゼンチン戦の感想
2019年6月10日、パルク・デ・プランスでサッカーなでしこジャパンvsアルゼンチン代表のFIFA女子W杯フランス2019グループD初戦が行われました。日本は守りを固めたアルゼンチン相手にスコアレスドローに終わっています。この試合について、簡単に振り返ってみます。
試合の概要
日本 | アルゼンチン | ||||||
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61% | 支配率 | 39% | |||||
8 | シュート | 5 | |||||
3 | 枠内 | 1 | |||||
681 | パス本数 | 253 | |||||
86% | パス成功率 | 66% | |||||
5 | CK | 0 | |||||
104km | 走行距離 | 97km | |||||
0 | オフサイド | 2 | |||||
6 | ファウル | 6 | |||||
3 | 警告 | 0 |
FIFA 公式記録より筆者作成
ボール自体は日本が支配していたものの、シュートすらまともに打たせてもらえない展開が終始続きました。ミスも目立ち、相手のプレッシャーからボールを奪われて何度か危険なカウンターも受けていました。勝って勢いを付けたかったところですが、少々不穏なスタートとなってしまいました。
日本のフォーメーション
日本は戦前の予想通りの布陣で、現段階でのベストメンバーと言っていいでしょう。
アルゼンチンのマンマーク
アルゼンチンについてはまったく情報がなかったのですが、ランキングを見ても、試合中の戦い方を見ても、試合後の喜び方を見ても、相当日本を研究して勝ち点1を獲りにきたなという印象でした。
なかでも日本の攻撃陣に対してマンマーク気味に対応していて、日本の選手がボールを受けるたびにいつも以上にプレッシャーがかかっていました。縦パスを入れるたびに捕まってカウンターを受けているうちに、徐々にチャレンジするシーンが減少していき、悪循環に陥ってしまったように見えます。
菅澤、横山がサイドに流れながら起点をつくろうとしていましたが、寄せが素早く、間で受けられる選手が非常に少なかったです。正直、女子サッカーでこれほどガッチガチの守備をするチームはあまり見たことがなかったので、とても新鮮な印象を受けました。
また、ボールを奪ったあとの攻撃でも狭いスペースでワンタッチでボールをつないで局面を打開するなど、技術力の高さも存分に発揮していました。なでしこのミスも多かったのですが、それはアルゼンチンの守備によって引き起こされたものであり、この試合はアルゼンチン代表のパフォーマンスが素晴らしかったと考えるべきでしょう。
カウンターの芽を摘んだボランチ
アルゼンチンはよい守備から幾度となくカウンターのチャンスをつくっていました。しかし、その芽を事前に摘んでいたのがボランチに入った三浦と杉田です。どちらもテクニックがあり、攻撃面に特長がある2人という印象でしたが、この試合では球際の厳しさや1vs1で競り勝つシーンを多く見せてくれました。カウンターを自由に許していると最悪勝ち点0もあり得る展開だっただけに、この2人に救われた部分も大きかったと思います。
後半の変化
後半から長谷川がボランチの位置まで下がってボールを受け、そこから前線にパスを供給して組み立てるシーンが増えました。また、前半途中から「岩渕のドリブルでファウルもらうくらいしかないな」と感じていたのですが、予想通り投入されました。しかし、一時は3人に囲まれるなど、アルゼンチンは1人多いのかな? と思うほどでした。
わずかにチャンスがあったとしたら、最終ラインで回しているときに、アルゼンチンの最終ラインも上げていたので、そこでロングフィードから前線の飛び出しがあるとよかったのかなと。少し足元、足元で短いパスをつなぐだけになってしまい、単調だったので、もう少し工夫が必要だったと思います。最終的にはアルゼンチン堅いに尽きるのですが。
まとめ
初戦は予想以上にアルゼンチンの守備がよく、勝ち点3を得ることはできませんでした。しかし、なでしこは上位進出を狙う以上、コンディションも決勝Tに照準を合わせていると思います。また、グループリーグは各組上位2チームに加えて、3位のチームのうち上位4チームまでが決勝Tに進出できるので、1試合ずつ内容を改善していってほしいところです。次は14日スコットランド戦です。