平均打点と成績の関係―1000半荘を分析

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はじめに

小林剛プロのインタビュー記事 によると、和了率と放銃率が成績に影響し、平均打点は大きく影響しないという。なんということだ!とても興味が湧いたので、とりあえず手持ちの私個人のデータ(天鳳上級卓1000半荘)で分析してみる。この結果を一般化して多くの人に当てはめるといったことはできない。

まず「成績」という言葉をどう捉えるか、さまざまに解釈できるかもしれないが、とりあえず「平均順位」注1という指標を使ってみようと思う。散布図の見やすさも考慮して10半荘ずつ区切り、データ数100で平均を出す。また、「影響」という言葉については「相関関係」注2を考えることとする。

 

平均順位と平均和了率に強い相関がありそう

横軸を平均順位、縦軸を平均和了率とした散布図を図1に示す。相関係数は-0.719となり、平均順位と平均和了率の間に強い負の相関が確認された。

ただし、平均を用いない場合の順位と和了率の相関係数は-0.682となり、弱い負の相関が認められた。また、データの区切り方により値が変わるため、一概に強い相関があるとは言い切れない。

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図1.平均順位と平均和了率の散布図

 

平均順位と平均放銃率に強い相関はない

同様に、縦軸を平均放銃率とした散布図を図2に示す。相関係数は0.436となり、平均順位と平均放銃率の相関は小さいことが確認された。

ただし、平均を用いない場合の順位と放縦率の相関係数は0.505となり、弱い正の相関が認められた。

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図2.平均順位と平均放銃率の散布図

 

平均順位と平均打点の相関は小さい

同様に、縦軸を平均打点とした散布図を図3に示す。相関係数は-0.307となり、平均順位と平均打点の相関は小さいことが確認された。

また、平均を用いない場合の順位と1半荘の平均打点の相関係数は-0.464となり、こちらも相関は小さいことが確認された。

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図3.平均順位と平均打点の散布図

 

つまり?

コバゴープロが言うように、私の場合においても、平均打点は成績と大きく関係しないのかもしれない!ただもう少し、層別やクロス集計表からのカイ2乗検定などもしてみたいところではある。

また、和了率と平均順位に関係がありそうだ、という点も小林プロが述べた通りの結果となった!小林プロがよく仰っている「自分が和了することで相手の和了を潰す」ということなのだろう。参加率を高めながら放銃しないってそれ最強や・・・。

放銃率に関してはやや異なる結果となった。すぐ降りるからだろうか。ここはもう少し精査が必要かもしれない。

とりあえず今回はここまで。

 

注1 ただし、統計学的にいうと「順位」は「順序尺度」であり、平均値を求めて計算することには意味がない。これは1位、2位、3位、4位の間隔(差)が均等とはいえないからである。実際、天鳳の順位ポイントは4位に対して厳しく設定されているし、素点(最終的な持ち点)においても、100点差を付けた1位と2万点差を付けた1位が同価値とみなされる。この辺は難しい議論になるのだが、”便宜的に”平均順位という指標を用いていることにご留意頂きたい。

 

注2 相関関係は重要であるが、必ずしも”因果関係”を表すものではない。「第3の変数」の存在や、それらが複雑に影響し合っている可能性も高い。また、出来事の前後関係も意味しない。和了率が高かったから→平均順位が1位に近付いたのか、その逆なのかは不明である。あくまでも、一方が高いときにもう一方も高いなどの関係を表しているにすぎない。

相関係数は、その関係の強さを表している。散布図上の各点に一致するように1本の直線を引いたときに、各点がその直線にどれくらい乗っているか、近いかを表す。完全に乗っているなら1、まったく乗っていないなら0となる。絶対値0.7以上で強い相関がある。右上がりなら正、右下がりなら負となる。

 

参考文献・サイト

LIBRA 2018年 5月|東京弁護士会

大澤 光・神宮英夫(2011)心理統計法

中澤 港(2018)Rによる統計解析の基礎

 

更新履歴

2018年6月13日 平均和了率と平均放銃率のデータの一部の誤りを修正。結果は同じ

 

オススメ本

川村晃裕『麻雀勝ち組の鳴きテクニック』