【コパ・アメリカ】サッカー日本代表-エクアドル戦の感想
2019年6月25日(日本時間)、エスタジオ・ミネイロンでサッカー日本代表vsエクアドル代表のコパ・アメリカ、グループC第3戦が行われました。日本は先制しながらも追いつかれ、最終的には1-1で引き分け、グループリーグ突破はできませんでした。この試合について簡単に振り返ってみます。
試合の概要
CONMEBOLから公式記録を見つけられなかったのでDAZNとGoogleの結果をそれぞれまとめておきます。
エクアドル | 日本 | ||||||
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49% | 支配率 | 51% | |||||
16 | シュート | 16 | |||||
3 | 枠内 | 7 | |||||
83% | パス成功率 | 82% | |||||
75% | 敵陣パス成功率 | 72% | |||||
22 | 敵陣PA内タッチ | 13 | |||||
4 | CK | 3 | |||||
56% | デュエル勝率 | 44% | |||||
14 | ファウル | 16 |
DAZNより筆者作成
Googleより
スタッツを見るとほぼ互角の展開です。デュエル勝率で下回るのはこの試合に限ったことではありません。日本のこの試合の枠内シュート率は3試合中もっとも高くなっています。
日本のフォーメーション
日本はウルグアイ戦とほぼ同じ4-2-3-1の布陣。トップ下のみ安部から久保に替わっています。
対するエクアドルは4-1-4-1の布陣で、1トップにE.バレンシア、2列目は左からイバーラ、メンデス、オレフエラ、メナ、アンカーにグルイソ、DFラインはラミレス、アルボレダ、ミナ、ベラスコ、GKドミンゲスとなっています。
アンカーの脇
エクアドルが採用した4-1-4-1という布陣は、中盤のアンカーの両脇にスペースが生まれやすい形です。日本は立ち上がりからそのスペースで久保や三好が受けて、チャンスをつくっていました。
先制点のシーンは14分、まず自陣左サイドのスローインから久保が引いて受けて中島へ。エクアドルはDFラインと中盤が離れてしまい、中島がこのスペースをうまく使って運び、岡崎へスルーパス。少し流れたところをGKドミンゲスがクリアしますが、これが中島に渡り、バーに触れたものの無人のゴールへと流し込みました。岡崎が抜け出したシーンでオフサイドのVARチェックが入りましたが、オフサイドはなし。日本の先制点が認められました。
あらためてこのシーンを見ると、アンカーのグルイソがサイドにいた中島のマークに行ったところを見て久保がボールを受けに来ていました。そこから中島が軽くスプリントしてグルイソの裏を取ってチャンスが生まれています。
失点シーン
エクアドルの前線からのプレスに自陣深い位置でビルドアップに2度も致命的なミスがあり、エクアドルにペースを握られてしまいました。
失点シーンは34分、CKが流れたところで日本の左サイドから滞空時間の長いクロスを入れられ、残っていた相手の長身CBミナにSB岩田が競り負け、CBアルボレダにフリーでシュートを打たせてしまい、川島がセーブするものの、こぼれ球をMFメナに詰められてしまいました。
CKから相手CB2人が残っていたところで数的不利かつミスマッチな状況が生まれてしまっていました。また、左サイドの守備も柴崎が前線までプレスに行ったところを岡崎がカバーするも遠い方へ展開され、不利な方へ運ばれてしまいました。解説の戸田氏によると、岩田は競り負けたとしてもボールがかぶらない(越えていかない)ポジションを取る必要があり、左サイドももう1人出て行かなければいけなかった。一度跳ね返したときにDFラインも押し上げる必要があったとしています。
悪い流れから相手にペースを握られ、チャンスのCKで人数かけて攻めてきたエクアドルの勝負どころの見極めも一枚上手だったのかなと思います。
SBの攻撃参加
後半エクアドルはメンデスに代えてプレシアードを左サイドに投入します。フォーメーションもオレフエラがボランチに下がった4-2-3-1に変更。前半日本に使われたアンカー脇のスペースを埋めるべく修正してきました。さらにサイドチェンジから右SBベラスコの積極的な攻撃参加が目立つようになります。
対する日本は杉岡に疲労が見られ、ウルグアイ戦で見せたような中島とのコンビネーションで崩すシーンが少なかったです。中島が中央で受けたがるシーンが増え、杉岡が孤立してしまっていました。岩田も後半になって前に出て行きましたが、あまり使ってもらえませんでした。前半と相手の形が変わっているわけですから、一度ワイドに開かせてから中央を使う攻撃も見たかったかなと思います。
日本は上田、安部、前田を投入。前線の人数を増やして得点を狙いにいきます。89分には中盤のプレスをかわして久保が受けると前田へスルーパス。決定的なチャンスでしたが、トラップが足元に入りすぎてしまい、十分なフィニッシュまで持ち込めませんでした。
93分には相手CBアルボレダが疲労のためか攻撃参加したまま守備に戻らず、富安のインターセプトからカウンターの大チャンスを迎えます。中島が運んで左の久保に振ると、相手を引き付けて再び中島へリターン。一瞬ゴール正面で完全にフリーになった中島ですが、シュートコースにミナが脚を伸ばしブロックされてしまいます。こぼれ球を久保が詰めましたがこれもオフサイドでした。日本はあと1点が遠く、手の届くところにあったグループリーグ突破を掴み取ることはできませんでした。
まとめ
五輪世代の若手中心で臨んだ今大会でしたが、完全アウェイの真剣勝負の舞台を経験できたことがまずなによりも収穫だったと思います。さらに攻撃陣を中心に今後が楽しみな選手も多く見ることができました。
課題としては、攻守に渡って、試合中に相手のやり方に柔軟に対応していくことでしょうか。それができると、より試合を支配し、チャンスも多くつくれると思います。
決定力不足というのもありますが、そもそもチャンスの数が少ないし、散発的で、自分たちでつくり出しているという感じにはなっていない印象でした。準備期間が短いということもあったと思いますし、それを考えると十分に健闘したと言えるのはないでしょうか。
ブラジルとの真剣勝負も見たかったですが、今後の選手たちの成長に期待しましょう。