サッカー日本代表-トリニダード・トバゴ戦のフォーメーションを分析
2019年6月5日、豊田スタジアムでサッカー日本代表vsトリニダード・トバゴの親善試合が行われました。日本は新たに3バックのフォーメーションにチャレンジしましたが、結果はスコアレスドローに終わっています。この試合について無得点に終わった原因を中心に簡単に振り返ってみます。
試合の概要
日本 | トリニダード・トバゴ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
後半 | 前半 | チーム合計 | 前半 | 後半 | |||
60.7% | 支配率 | 39.3% | |||||
14 | 11 | 25 | シュート | 5 | 1 | 4 | |
6 | 4 | 10 | CK | 4 | 2 | 2 | |
2 | 10 | 12 | 直接FK | 14 | 7 | 7 | |
0 | 0 | 0 | 間接FK | 0 | 0 | 0 | |
0 | 0 | 0 | オフサイド | 0 | 0 | 0 | |
0 | 0 | 0 | PK | 0 | 0 | 0 | |
0 | 0 | 0 | 警告 | 3 | 1 | 2 |
日本サッカー協会 公式記録より筆者作成
スタッツを見るとわかりやすいのですが、試合展開としては、日本が終始ボールを保持してシュートも多く放ったものの、結局ゴールが奪えず無得点に終わったという感じです。
日本代表のフォーメーション
フォーメーションは3-4-2-1で、森保監督になって初めて3バックが採用されました。ここまで攻撃の中心選手として活躍していた南野はベンチスタート。また、注目されていた久保建英はベンチ外でした。
日本はなぜ無得点に終わったのか
結論から言うと、上図のように3バックの両端(畠中・富安)が持ち上がって、そのサイドを押し上げるシーンが少なかったためと考えられます。3バックは4バックと異なり、CBが3枚なので、どちらか1枚が攻撃参加しないと攻撃に厚みが出ません。
なにも前線にまで上がれというわけではなく、ボランチあたりまで高い位置を取って、全体を押し上げる必要があったということです。それができると、いわゆるバイタルエリアに攻撃的な選手が大迫と近い距離感で侵入するシーンが増え、攻撃が活性化したのではないかと推察します。
もちろん相手も2~3人のカウンター要員を残していたので、そこはかけ引きになりますが、結果的に中央からの攻撃は機能していなかったので、もう少し積極的なプレーが必要だったと思います。
サイド攻撃については、堂安が酒井の、中島が長友の、それぞれマークを引き付け、サイドを突破してクロスを上げることはできていました。しかし、エリア内には大迫と逆サイドの中島か堂安の2枚というシーンが多く、攻撃に迫力を欠き、相手の長身DFにはね返されるシーンが多くなってしまいました。
畠中も富安も足元が巧く、フィードに長けた選手なので、柴崎からの縦パスだけでなく、角度を付けたナナメのくさびのパスを入れる意味でも、この2人の攻撃参加がより必要だったといえるでしょう。
なぜ3バックを採用したか
3バックを採用した理由は、新しい攻撃オプションを増やすためであると考えられます。これまでの4-2-3-1ではウルグアイに勝利するなど、結果を出しています。
その一方で、アジアカップでは大迫を欠いた試合で得点力不足を露呈するなど、現在機能している選手以外のオプションが求められています。
特に今回は、大迫と並んでこれまで攻撃のキープレイヤーとして活躍してきた南野のポジションを置かない形でした。南野が不在の場合を想定して、新しい形にチャレンジしたと考えるのが妥当なところでしょう。
まとめ
今回の試合では残念ながら得点を奪い、勝利することはできませんでした。しかし、歴代の日本代表を思い返しても、これだけ早い段階でベースの形が決まり、別のオプションも試せるというのは珍しいと思います。もちろん、サッカーは形ではないのですが、複数のフォーメーションを自在に使いこなす代表チームというのもなかなか面白そうです。今後も森保監督率いる日本代表チームをウォッチしていきます。