ロシアW杯グループHコロンビア-日本の感想

放送を見始めたらスタジアムが黄色く染まっていて、自分が思っている以上に今の代表チームは逆風の最中にあるのかなんて思った。それとも単純にロシアが遠かっただけだろうか。その理屈でいくとコロンビアの方が遠いんだけどね。足を運んでくれたサポーターに感謝です。

 

完全アウェイの雰囲気のなか、キックオフ直前にはファルカオがなにか主張しはじめ、サイドを入れ替えることに。いやさっきトスに勝って右って言ったやん。これで長友は日差しの眩しいサイドに移ることとなった。

 

日本の先発メンバーは昌子以外すべて海外組で構成されていた。西野監督はCBをどうするのかと自分なりに想像していたが、昌子と吉田のコンビはあまり見た記憶がなかったため、そうきたかと思った。言われてみれば強さと経験のある吉田とカバーの上手い昌子のコンビはいいな。

 

試合はゆっくりと立ち上がる。これも意外。コロンビアはうわーっとハイテンションで入るのかと思っていた。試合後の選手インタビューでも、コロンビアから緊張感が感じられたそうだ。パスミスも多くておぼつかない印象だった。

 

3分。クリアボールを香川がダイレクトで前方へ。これほんとよく見てたなと思う。大迫が上手く入れ替わって、ボールと相手DFの間に体を入れてドリブル。こうなると相手はファウルで止めるしかなくなる。1vs1、オスピナ止めるんかい。

 

しかし香川が詰めていてシュート、と思ったらまた弾かれてCKかーと思いました。そしたら急にゴニョゴニョしだしてPKに。サンチェスが腕をピーンと伸ばしていた。ピーンとね。当たった後に顔を抑え?頭を抱え?ながら倒れていたし、自覚があったのではないかと思う。退場・PK・次戦出場停止の三重苦。

 

香川はとても落ち着いていた。ほとんど正面だよ。タイミングを外すことだけを考えていたと試合後のインタビューで語っていた。PKて見てる方が緊張する気がする。

でもこの後に判定のバランスもあるなと思った。スコミナ主審は実績のあるイケメン審判で、W杯は初めてだった。試合を完全に終わらせないために、ビデオ判定とか無理矢理持ち出してコロンビアにチャンスを与えるなんてのはよくある話で。

 

コロンビアはファルカオを1人残した441に。長谷部キャプテンは前回大会のギリシャ戦を引き合いに、相手が1人少ない状況の難しさを話していた。少しもったいないつなぎのミスも見られた。引きこもられると崩すのは難しくなる。カウンターも鋭いし、キンテロ-ファルカオラインのワンチャンスもある。セットプレーに人数は関係ない。

 

コロンビアは数的不利を克服するために個でドリブルを仕掛けるシーンが目立った。抜ければチャンスになる。長友vsクアドラードとかイタリアでも前回大会でもよく見た光景だ。原口vsモヒカも勝っていた。1vs1で負けてない。戦術的な意味合いもあっただろうが、クアドラードは早々に交代させられた。

 

CKでは事前の試合で見せなかったショートコーナーや、ニアでそらせる形など工夫が見られた。強化試合の映像は当然対戦相手も見るわけで、あの時点から既に駆け引きは始まっていた。

 

長友のクリアミスは眩しかったのだろうか。ファルカオめ。長谷部はファウルを取られたけど、あれはファルカオが自らおけつアタックでぶつかりにいって大げさにコケてるように見える。南米のマリーシアか。これが判定のバランスか。もっと強く抗議してもよかったかもしれない。

FK、壁の下、キンテロ。涅槃仏のように壁の下に1人配置する作戦はどうだろう。1人余ってるわけだし。そんなことを妄想してしまった。あとゴールラインテクノロジーで判定が出てるにも関わらず、川島が真剣な顔でノーゴールをアピールしてたのは、色々批判もあるかもしれないが、正直滑稽に見えてしまった。

長谷部キャプテン以下3人で主審に詰め寄り、恐らくファウルのシーンをビデオで見てくれと頼んだのだろうが、後の祭りであった。主審の記憶に誤りはないらしい。

 

1人少ないとはいえ強国相手に勝ち点3を獲得するチャンスがあった。当初の目標では引き分けでも勝ち点が獲得できればいい試合でもあった。しかし消極的になり過ぎると最悪の結果も招きかねない。選手の考えがバラバラになる恐れもあった。ハーフタイムは監督が試合中にチームに働きかけることのできる数少ない機会である。

解説の岡田氏が言うように、まだ0-0と同じ、最初にやろうとしていたことをもう一回やろうよ、と西野監督も選手たちに伝えたのかもしれない。

 

それにしても見ていて肩が凝るし、胃が痛くなる試合だ。ちと大げさだが、これが一緒に戦っているという感覚なのだろうか。

 
後半に入って、立ち上がりは相手もカッチリ引いてるからリズムが出しにくそうだった。しかし、大迫、乾、香川がスペースを狙って動き、少しずつリズムが出てきた。慎重さのなかに勝ちを狙う意識がたしかに存在していた。

 

キンテロからハメスに交代。岡田氏「練習してないんじゃないの?」は面白かった。前半に交代で入ったバリオスが香川の足先をもろに踏む。怪我してないといいのだが。大丈夫かな。そして本田と交代。コロンビアはバッカを投入。まだあきらめてない。

 

左サイドから本田→酒井→大迫のポストからもう一度酒井のシーンは素晴らしかった。こういういい攻撃の後のCKで得点することが多い。もっとも、それは単に強く印象付けられているだけなのかもしれないが。

 

大迫ハンパないって涙でるわ。ファーサイドしっかり詰めてる原口も好き。大迫はインタビューで練習通りの形と言っていたが、本田のキックの精度と大迫の体の強さでもぎ取ったゴールに見えた。

 

本田さんは指示があったのか攻守で右サイドに張っていて、乾が孤立することになった。乾のスタミナを温存する作戦だったのか不明だが、プレッシャーもきつく、パスミスやボールを奪われるシーンもあり、CKのシーン以外は少し合ってないようにも感じた。

 

ラスト15分。地力が出る時間帯でコロンビアは最大の決定機を迎える。長谷部がCKを嫌って残したボールをレルマがオサレヒール。あああ終わったあああと思ったけど、ハメスのシュートにわずかに足先を当てたのは大迫。続くCKからのバッカのシュートも恐らく原口だったかと思うが体を投げ出してブロック。この球際の数cmを縮めることがここ数年の日本の課題であったと思う。

 

大迫から岡崎へ。これで前からの守備もカウンターもどっちもいける。柴崎が足を引きずって山口と交代。香川もだけど歩けていたので多分大丈夫だと思う。そして、5分間が本当に長かった。

西野監督マイアミの奇跡に続き、またも大金星となった。しかし、サランスクの奇跡と呼ぶのは失礼に感じる。持てる力を最大限出し尽くした勝利だったと思う。こんな試合が少なくともあと2試合続くと思うとゾッとする。