サッカーW杯2019なでしこジャパン-スコットランド戦の感想
2019年6月14日、ローザン・パークでサッカーなでしこジャパンvsスコットランド代表のFIFA女子W杯フランス2019グループD第2戦が行われました。日本は岩渕・菅澤の2トップの活躍で、2-1の勝利を収めています。この試合について、簡単に振り返ってみます。
試合の概要
日本 | スコットランド | ||||||
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49% | 支配率 | 51% | |||||
18 | シュート | 12 | |||||
6 | 枠内 | 4 | |||||
463 | パス本数 | 458 | |||||
82% | パス成功率 | 81% | |||||
6 | CK | 6 | |||||
106km | 走行距離 | 104km | |||||
0 | オフサイド | 3 | |||||
11 | ファウル | 6 | |||||
1 | 警告 | 1 |
FIFA 公式記録より筆者作成
スタッツを見るとほとんど大差がなく、唯一シュートに関して日本の姿勢が見て取れます。パス本数、成功率ともにほぼ同じ値ですが、日本の方がよりチャレンジングで効果的なパスが多かったという印象でした。
日本のフォーメーション
日本はアルゼンチン戦から先発3人を変更し、CBは南から市瀬、左は長谷川から遠藤、FWは横山から岩渕としています。
高倉監督就任以降、長谷川と横山は攻撃の中心選手だっただけに、初戦が思わしくなかったとはいえ、この大事な一戦で一気に替えたのは衝撃的でした。高倉監督はかねてからレギュラー安泰という選手はつくらず、チーム内の競争を活性化させるという基本方針を持っています。それにしても、この場面で入れ替えるというのは、相当な決断だったと感じます。
日本の攻撃の特徴
スコットランドはオーソドックスなイングランドスタイルのフラットな4-4-2の布陣でした。注目されたキム・リトルはボランチの位置に入っていました。
このフォーメーション攻略の鍵はDFラインと中盤の2ラインの間のスペースに起点をつくることです。そこに起点がつくれると、CBが食い付いてくればDFラインにギャップが生じてFWがフリーになりやすくなるし、来なければ前を向いてドリブルで仕掛けが効くなど、攻撃が活性化するからです。
この試合は特に右SB清水から菅澤に当てて、落としたところに岩渕や遠藤、杉田が関わっていく形が顕著に見られました。中盤の形も三浦をアンカー気味に残してカウンターに備え、杉田を2列目まで上げ、岩渕を少し下げた4-1-3-1-1という布陣に展開させていました。
先制点は杉田から菅澤を狙った縦パスのこぼれ球を遠藤が拾い、股抜きパスから岩渕が相手DFをシャドーにしながらの無回転シュート。中心選手に代わって先発した2人が期待に応えました。このゴールはチーム全体を活性化する非常に大きな意味を持つゴールだったと思います。
守備では好パフォーマンスを維持する三浦がキム・リトルに前を向かせず、ほぼ完璧に抑えていました。
長谷川の復活はあるか
初戦に引き続き、この試合でも長谷川のパフォーマンスが上がっていないのが気になります。なでしこの攻撃の中心を担う選手なので、当然相手にも研究されるとは思うのですが、通っていたパスが通らない、簡単に失うシーンが多いように見えます。
3戦目、決勝T進出を決めているイングランドがどう出てくるかにもよりますが、たとえば4-2-3-1に変更してみるなど、なにかきっかけがあるといいのかなとも思います。
まとめ
待望の勝ち点3をゲットして決勝T進出に一歩近付きました。ようやく本来の個の力とチーム戦術が噛み合って、なでしこらしいサッカーが見られたのかなと思います。次は19日イングランド戦です。