ロシアW杯グループH日本-ポーランドの感想

怪我をしていたグリクも、出ないという噂のあったレバンドフスキもキャプテンマーク巻いて出てるやん。これは本気のメンバーだよね。適当に流してくれないかなーなんて淡い期待は吹っ飛んでしまった。

 

そしてなんだかんだ同じメンバーかと思われた日本は噂通り先発を6人変更。疲労が溜まっている選手を使うことは難しいか。次の試合のために温存という意味ではなく、この試合のパフォーマンスの面で。暑いし。試合に出てない選手のモチベーションも考慮したのだろう。この大事な試合で使うことで信頼を示すことができる。とても勇気がいることだ。

 

試合はソロソロとした入り。なんだかおっかなビックリ慎重なパス回しに見えた。多分、岡崎の運動量が少なかったからだと思う。後半早々に足首痛そうに交代したし、コンディションが思わしくなかったのだろう。

 

彼が前線で動き回ってパスコースをつくってくれないとなかなか攻撃が活性化しない。みんな足元でボールを受けたがってリズムが出ない。宇佐美のドリブルに頼らざるを得なくなる。ダイビングヘッドはらしくてよかったけど。

 

もちろん第一目標が失点しないことというのもある。無理にダイレクトプレーをしてミスったら悲惨だ。早く点を取って楽になりたいが、失点したくない。実にじりじりする試合だ。

 

ノンプレッシャーのポーランドは2バックにして、組み立ての段階でクリホビアクが一時的に下がって擬似3バックのような形になり、両SBが高い位置を取る。積極的だ。自慢の攻撃力を遺憾なく発揮して国民に勝利をプレゼントしようとしていた。

 

カウンターではクルザワがフリーでボールを運び危険なシーンをつくり出していた。最終ラインから放たれるロングフィードも厄介だった。そして、川島のそれはないってスーパーセーブ。ゴールライン上のボールめっちゃかき出すもん。チームを救った。

 

後半の二度のビッグチャンスと合わせて0-4で負けていてもおかしくなかった。失点シーンでは、酒井(宏)が少し体勢崩したところをベドナレクに押し出されてフリーにしてしまっていた。守備の飛び道具オフサイドトラップもそう何度も使えない。クルザワのボールもピンポイントでそこに合わせてくる。さすがの川島もこれはノーチャンス。セットプレーてほんと、格闘技の世界だわ。

 

乱暴に言ってしまうと、今の日本は香川を中央に置かないとなかなか攻撃のリズムが生まれず、チャンスをつくり出せない。ただ、別の形にチャレンジしたことはよかったハズだ。結果も内容もいまいちだったが、1つ経験を得た。なんてったって、始まって間もないチームなのだ。ま、代表は勉強する場ではなく、結果を出す場なのだけれども。

 

失点した後少し焦りも見えて、追い付くのは厳しいかなーなんて思っていたら、コロンビアが得点したなんてブレイキングが。カードの差でそのまま終われば決勝トーナメント進出が決まる状況に。運がいいなーなんて思ったのだけど、コロンビアって1点取るだけですごく有利になれる状況だったんだな。ポーランド戦での3-0が効いてる。

 

ここで西野監督は武藤に代えて長谷部を投入する。2006ドイツW杯でジーコ監督が小野を投入してオーストラリアに負けた試合を思い出す。小野は攻撃センスもあるし守備的な中盤でもあり、攻めるのか守るのか、ピッチ内の選手は混乱した。コミュニケーション不足もあり、チームは一体となって戦うことができなかった。攻撃的な選手を次々に投入し、明確なメッセージを発したヒディンクの前に屈したのだ。

 

監督の決断をチームキャプテンが徐々に浸透させていく。ポーランドの攻撃も挟みつつ数分間に及ぶボール回しが2回。すぐに適応する選手たち。事前に用意される複数のゲームプランの内に含まれていたということなのだろうか。

 

現代のサッカーは、より刺激的で人気スポーツになれるよう、得点が多く入るようにルールが改正されていく流れにある。セネガルには世界的なストライカーもいる。そう考えると不安にも感じたが、その上でコロンビアの守備が上回るという判断だったのだろう。もし失点し、さらに日本が追い付いたら敗退が決まる状況であり、必死に守る理由があった。

 

目の前のポーランドも母国に勝利を奉げるという最低限の目標は達成間近であり、利害関係が一致していた。そして日本もゴールが遠かった。2失点目はそれこそゲームオーバーだ。

 

西野監督は様々な条件を考慮した上で、ルールに則り、目的の達成のために最も可能性の高い、最適な選択を行った。

 

麻雀プロの対局を観ていると、これに似た状況が時々見られる。自分が得点することよりも、失点したり、何もせずに守ったり、他の人に任せたりする方が最終的な勝利に近付くことがある。目的と手段を混同してはいけないということだろう。

 

次の相手はベルギーに決まった。親善試合などでも割といい試合をしている。史上初のベスト8を楽しみに応援したい。

 

チラッと映ったI LOVE JAPANのペイントしたお姉さんキレイだったなぁ。