リーチの成否基準①和了―アソシエーション分析
はじめに
和了率を上げる為に、配牌から序盤の進行において、リーチなのか副露なのかを判断することは大切なことだと思う。また、リーチ自体の成否を分ける基準がどこにあるのかも重要である。副露に関する分析と同様に、アソシエーション分析を適用して分析してみたい。
方法
データは6月の天鳳上級卓でリーチをした45局+7月の一部データを加えた合計48局を使用。事象の数は83であり、副露に関する分析から副露特有の事象を除き、巡目と向聴数などを新たに加えた。
結果と感想
信頼度(confidence)0.8、支持度(support)0.1で分析した結果、結論部(rhs)を「和了」とするルールが5124個得られた。副露の場合と比較して支持度が高いルールが多かったため、支持度0.15(15%)で分析した結果、372個のルールが得られた。条件部の事象頻度を図1に示す。
今回はまだ「放銃」や「他家和了」のルールについて分析が済んでいないため、副露との比較を中心に考えていきたい。
役牌トイツなし
配牌で役牌がトイツだとまず鳴いてしまうところが現われている。副露では「役牌1鳴き」という条件があったので、切られる前の早い段階で重なれば副露、そうでなければリーチを主体に考えればよさそうである。
副露については、なにも役牌だけではないわけで、食いタンや食い下がり役をどう考えるかというのが次の課題になってくる。印象でしかないのだけれども、食いタンって難しいなぁと思う。面前で進められそうでもあるが、鳴いても早そうであり、でも鳴いたら守備力は落ちそうで不安だし、といろいろ思うところがある。
他家が先制副露
まず変な名前の事象の意味を説明すると、「自分対副露追掛リーチ」は、他家が先制副露した後に自分がリーチをぶつけていった状況を表している。なので、リーチとしては実質先制リーチである。
「自分完全先制リーチ」は他家が副露もリーチもしていないところにリーチした状況である。こちらの方が多くなるかと予想していたのだが、少し意外で、他家が少し攻めっ気を見せている時の方が和了しやすいらしい。早い巡目でリーチが打てるなら先制副露はほとんど無視してもいいという意味にも捉えられる。
配牌と巡目と向聴数
配牌で何向聴だからリーチして和了できるといった基準は得られなかった。手牌構成としては、「面子1」、「両面ターツ1」、「ドラ0」、「雀頭なし」という条件が見られた。前の2つは理解できるが、後の2つがなぜ出てくるのかは不明である。
手の進み具合では、「段1前向聴2」ということで、また変な名前なのだが、1段目前半(1~3巡目)で2向聴であることと、「聴牌1段後」(4~6巡目)という条件が現われている。したがって、配牌の向聴数だけではまだ何も分からなくて、最初の3巡で2向聴までいけるかどうかが1つの目安になりそうである。もちろん両面ターツの数とか、切れてる枚数、場況、受け入れ枚数も考慮する必要がある。
その他
副露と同じで他家の動向が少なければ和了につながりやすそうである。ただ、それは事前に分かるかと言われると微妙なところであり、リーチした後は選択肢がないので、当たり前じゃんという話になってしまう。ほぼほぼ降りることがないであろうラス目の親相手に先制リーチ打つかどうかみたいな局面なら少し考えたいところ。
副露と同じで「東場」と「子」がまた出てきた。リーチでも副露でもこの局面だと和了しやすいようである。親番でのリーチを意識し始めた7月のデータも加えて分析してみたいところである。
最終形は「両面待ち」が多く、「確定2ハン」(リーチ除く)のことが多い。「放銃」のときにリーチのみなんかが条件に出てきたら興味深いことになる。
今後調べたいこと
リーチについても、結論部に「放銃」や「他家和了」を設定した分析を行い、今回の結果と比較することで条件部の違いを検討したい。
参考文献・サイト
秋光淳生(2016)データの分析と知識発見 放送大学教育振興会