サッカーなでしこJAPAN-ノルウェーの感想
2018年11月11日に行われた試合について。
正直、非常に良い内容だったので取り立てて言うこともほとんどなかった。強いて言えば左サイドの守備、セットプレーの守備、そして交代後のプレスとカバーのポジショニングに不安定感があった。
高倉監督の指導方針に基づき、チーム内の競争意識を高めるため、ここまで選手はほとんど固定されていない。実にさまざまな選手が、さまざまなポジション、役割を試されながらチームづくりが進んできた。来年のW杯まで半年強と迫ったこの試合においても、その方針は一貫していた。
そのなかでも、センターラインに熊谷、宇津木といった経験のある選手が入ると安定すると感じた。そのコンビを担う候補としてCBでは市瀬が、DHでは三浦が素晴らしいアピールをした。
しかし、CB修行を終えて本職に戻った鮫島とのトライアングルで左サイドの守備に脆弱性を露呈した。もちろんマッチアップする相手はノルウェーの中心選手であり、高望みはよろしくない。ただ、アルガルベカップ、アメリカ遠征とSBの裏を突かれることが多く、そこがなでしこのウィークポイントとして修正されていなかったと感じる。
三浦は攻守に気の利く選手ではあったが、そうであれば左サイドのケアもしなければならなかった。より守備のできる宇津木をLDHに置く選択肢はなかったか。右利きの三浦にゲームメイクを期待し、視野を確保するために左に置いたのかもしれないし、また、気心知れた長谷川との縦関係も考慮されたのかもしれない。
サイドを突破されると相手にコーナーキックを与えやすくなる。体格差を考えるとセットプレーからの1失点は避けられないのではないだろうか。せいぜいフリーの選手をつくらないことと、粘り強く体を寄せることくらいしかない。
大量リードで投入された長野もあまりスプリントしてくれる選手ではないので、有吉が入るまでサイドの守備は安定しなかった。
攻撃面では素晴らしい連携からチャンスを多くつくり、結果も伴った。大量リードを後ろ盾にU-20で活躍した若い選手を起用できたことも収穫だった。
この試合では、苦しみながらアジアを制覇してきた自信といえるような何かが感じられた。得点した選手とは別に、特に印象に残ったのが途中出場した菅澤だった。得点こそ奪えなかったが、中国戦での劇的な決勝ゴールがあったからか、メンタルトレーナー田中氏の影響か、自信に溢れていたように見えたのは自分だけだろうか。
チームとしても個人としても、ここからあともうひと伸びできると来年のW杯がとても楽しみになる。